地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

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Report15 Yamato City

ポイントを押さえた安全衛生活動を展開 大和市

取り組みのポイント

  • 安全衛生委員会に属さない小規模事業場には、講習を受けた衛生推進者を配置
  • 第1種衛生管理者の資格取得を推進し、委員会活動を支援・活性化
  • ラインケアの強化等ポイントを押さえたメンタルヘルス対策の実施

日常的に安全衛生活動を推進するためには、それを担う衛生管理者や衛生推進者の資質が重要です。そこで、大和市では毎年度、衛生推進者の受講者枠を20名確保し、講習修了者を衛生推進者に選任するなどして、安全衛生の向上を図っています。

また、管理監督者のラインケアの強化やメンタルヘルス不調者の復職支援に注力するなど、ポイントを押さえて安全衛生の向上を図る大和市の取り組みを紹介します。

1 小規模事業場には講習を受けた衛生推進者を配置

大和市は「大和市職員安全衛生管理規程」に基づき人数規模や業種により7つの安全・衛生委員会を設置しています。その他の労働者が50人未満の小規模事業場は各委員会には含めておらず、法令に従った安全衛生管理体制を組織しています。

大和市安全衛生管理体制

大和市安全衛生管理体制

小規模事業場を市役所の衛生委員会に含めてしまうと、意見が反映されにくいなどのデメリットがあります。そこで、市では小規模事業場については、管理規程に基づき衛生推進者を選任して、各事業場ごとに衛生活動を実施しています。この衛生推進者は、衛生の実務に従事した経験者や厚生労働省労働基準局長が定める講習を修了した者から選任されますが、市では小規模事業場の取り組みを着実に推進するため、毎年度、衛生推進者に係る講習経費20人分を確保して、全ての小規模事業場で講習修了者を衛生推進者に選任しています。人財課健康管理担当の門倉 義之氏は「該当する職場の職員は(一財)地方公務員安全衛生推進協会が行う安全衛生推進者養成講習会を受講し、衛生活動に必要な知識を習得してもらっています。小中学校の教頭や保育園の園長など、衛生の推進に効果的な管理職クラスの職員が受講しています。」と取り組みを語りました。

こうして、市では小規模事業場の取り組みの実効性を高めていますが、他の事業場との情報共有が少ない等の理由により、活動が停滞するおそれもあります。そこで市では、必要に応じて本庁舎衛生委員会が小規模職場への職場巡視を実施しています。門倉氏は巡視について、こう語りました。「図書館などの小規模事業場にも職場巡視を行っています。こうした小規模事業場に、産業医や委員会委員等の部外者が巡視することで情報共有も図られて、職場の安全衛生活動の活性化につながります。」

2 第1種衛生管理者資格取得の推進により委員会活動を支援等

市では衛生推進者に講習修了者を選任していますが、一方、各安全・衛生委員会において安全衛生活動を担う衛生管理者の資格取得を推進しています。市長部局には環境管理センター(清掃業)や市立病院(医療業)もありますので、部局を越える人事異動に対応できるよう第1種衛生管理者の資格取得を推進しています。門倉氏は「平成22年度からは5名の経費を確保しています。毎年度、各安全・衛生委員会に推薦依頼を行って適任者を選定し、資格取得の講習を受講させています。平成24・25年度と受講者は全員合格しています。」と取得の状況を語りました。

こうした第1種衛生管理者の資格取得推進により、各安全・衛生委員会には漏れなく有資格者が配置できています。また、新しい第1種衛生管理者の配置により、各安全・衛生委員会の独自の取り組みが活性化されています。

特に環境管理センター安全衛生委員会では月1回委員会を開催し、公務災害の状況や熱中症対策など、時期に応じた議事が話し合われています。委員会で報告された災害については、各委員から職員に対して朝礼等で伝達され、再発防止策等の周知徹底が図られています。また、教育委員会安全衛生委員会では、学校庁務作業員を対象に公務災害の予防講習を実施しています。こうした各委員会の取り組みにより、公務災害発生件数の削減が図られるよう努めています。

3 ポイントを押さえたメンタルヘルス対策

全国的に地方公務員の長期病休者に占めるメンタルヘルス不調者の増加傾向が続く中で、大和市にも同様の傾向がありました。市では、平成4年度から正規の職域保健師1名を配置していましたが、そうした状況に対応するため、平成20年度には、それまでの内科産業医に加え精神科産業医を選任し、より専門的な対応を強化しました。また、平成25年度からは係長・課長に対するラインケア研修も実施するなど、メンタルヘルスに係る取り組みの充実を図っています。人財課健康管理担当係長の森川 美明氏はこう語ります。「メンタルヘルス不調者を抱える係長や課長が苦労している状況を改善したいと考えていました。そこで、マネジメントに携わる係長や課長に、不調のきざしや感じ方を理解してもらって、不調者が出ないように、また出ても上手に対応できるように、ラインケアに係る研修を強化していきたいと考えています。

メンタルヘルスに係る取り組み状況

項目 取り組み
心と体の健康相談 ・精神科産業医・臨床心理士等による相談(月計8回)
・保健師による相談(随時)
メンタルヘルス研修 ・一般職員対象(年7回)
・新規採用者、管理監督者対象(年計3回)
・消防職員対象(年2回)

また、メンタルヘルス不調者の復職支援では、復職後に再び休むことのないよう、休業者は試し出勤制度である「職場リハビリテーション」に取り組み、精神科産業医が特に通常勤務が行えるかを重視して復職の決定をしています。

保健師で人財課健康管理担当の亀田 美智子氏は「メンタルヘルス不調者の復帰で大切なのは、復帰した職員がきちんと仕事ができて、定年までしっかり働き続けることです。また不調で休んでしまうと、本人も同僚も困ります。そこで、平成20年度に精神科産業医が選任されたのを機に、それまで主治医の判断で復帰させていたのを、元の職場で受け入れられるレベルの仕事ができるかどうか、精神科産業医が判断して復職を決定しています。」と取り組みを語りました。こうしたポイントを絞ったメンタルヘルス対策によって、復職後のメンタル不調再発の防止を図っています。

アドバイザーより一言

アドバイザー/芳賀氏

本庁舎、水質管理センター及び環境管理センターなど、敷地が別の各庁舎を独立した事業場として位置付け、それぞれが安全衛生管理を推進しています。このような管理体制は、一つひとつの作業現場・作業に目を向けられるので、細やかな管理が可能です。

また、労働安全衛生法令の適用がない職員規模の事業場のトップを「総括安全衛生管理者」として指名し、法令で定められた統括業務を行っています。さらに職員数が10人以上50人未満のところでは衛生推進者を選任し、衛生管理の技術的な実務に当たらせています。

メンタルヘルス対策では、長年、セルフケアの重要性などをテーマとした職員研修を開催しているほか、専門医による健康相談を月数回開設し、職員が気軽に相談できる体制を整備しています。今後は、管理監督者にラインケアの重要性を浸透させるとともに、職場の人間関係や職場環境の改善に結びつく取り組みを期待します。

中央労働災害防止協会 関東安全衛生サービスセンター
安全管理士 芳賀 伸之

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City profile

神奈川県大和市

大和市位置

  • 面積 27.06km2
  • 人口 231,744人
    (2013.11.1現在)
  • 人口密度 8,564人 /km2

見どころ

泉の森 市内外の方たちに広く親しまれている「泉の森」

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大和市イベントキャラクター

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〒242-8601
神奈川県大和市
下鶴間1-1-1
取材先:人財課

職員数1,861人
【内訳】
一般行政 872人
教育 147人
消防 233人
公営企業等 609人
(2013.4.1総務省調査)

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